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午前零時、駅前は羊の群れであふれていた。人々はスマートフォンの光を見つめ、同じ夢を反芻している。歩調は揃い、仮面は剥がれない。仮面が彼らを守っているのか、それとも彼らが仮面を守っているのか、判別できなかった。
その夜、古本屋の前で一枚の紙切れを拾った。薄い紙に、震えるような手書きでこう書かれていた。「全てを奪いにやってくる」
雨に濡れて文字はにじんでいたが、脅しではなく告白のように見えた。誰かが必死に伝えようとした痕跡。その瞬間、街のざわめきが遠のいた。
詐欺師たちは宗教を名乗り、希望を売り歩き、不幸を増幅させてきた。権力は口実を巧みに仕立て、自らを正当化する。他者の感情など意に介さず、幸福を踏みにじり、粉々にしてきた。私は知っている。私はその破片をいくつも拾ってきた。
間違いではなかった。ただ愚かだった。
私は紙切れをポケットにしまい、灰色の街を歩き出した。全てが錆び、朽ちていくように見える。けれど、その錆の下で新しい芽が震えているのを感じた。灰の中の骨でさえ、新しい方向を探している。
私には幻影がある。月の裏側で、君が手を振っている。遠い夢の中で交わした約束が、今も血の中で鳴っている。再び出会うために。
昨日はいつしか過ぎ去った。新しい朝が始まる。私は問う——よく眠れただろうか?今日は違う日だ。歩こう。虹の彼方へ。月の裏側へ。風の中へ。新しい世界へ。
午前零時。私は毎夜この時刻に思い出す。私たちは間違っていなかった。私たちは愚かだった。それでも——。
DRG『OVER SOUNDS』ラフミックス試聴ノートより抜粋
DRGによる1stアルバム『OVER SOUNDS』は、かつてNirvanaやRadiohead、Smashing Pumpkins、Nine Inch Nailsが築き上げた“オルタナティブ”という感覚を、2020年代の閉塞感とともに再定義しようとする試みだ。「継承と破壊の意志」が宿っている。
本作は「大声で叫ばない怒り」「爆発せずに内圧を保ったまま膨張する焦燥」といった、極めて現代的なエモーションのスタイルを取る。日常に溶け込んだ絶望や静かな違和感に耳を澄ませたサウンドが、粘性のあるリアルを浮かび上がらせる。
DRGが鳴らしているのは、2020年代の“孤立と希望なき時代”における、生存のための音楽だ。静かな戦いの記録として、次世代オルタナティブ・ミュージックの胎動を感じさせる。
“声を荒げない反抗”が、Z世代のメンタルが抱える無音地帯に輪郭を与えていく。
drgxxxxxxxx@gmail.com